広東省肇慶市(かんとんしょう ちょうけいし) |
野村 由香里さん (日本語学科/平成8年卒、言語教育研究科/平成16年修了) |
私は姫路獨協大学の協定校である、中国広東省肇慶市の肇慶学院(4年生国立大学)の外国語学部日本語学科に2004年9月から2007年7月までの3年間、日本語教師として勤務、肇慶市に在住しました。 肇慶市は広州から車で1時間半ぐらい西に入った、西江河をのぞむ、国家レベルの景勝地といわれている街です。広東嶺南文化の最初の入り口でもあり、歴史的造詣が深く、観光資源が豊富でもあります。気候は雨季と乾期に分かれ、5月半ばから11月ごろまでは夏で、冬でも温暖な場所です。人口は356万人。町には五つの湖と七つの石灰岩でできた岩山が独特の奇観をつくりあげている「七星岩」があります。また、この七星岩景岩区には、いくつもの洞窟があり、龍岩洞と碧霞洞は小舟で洞内を巡ることができ、ライトアップされた鍾乳洞の内部は神秘的な輝きを放っています。夜になると、中心湖南端の音楽噴泉では、噴水による音楽ショーが行われ、観光客や地元民の楽しみにもなっています。 市街地から北へ20キロの鼎会湖山風景区は、昔から僧侶の修行地で日本でも知られる鑑真和背尚が、訪日を目指して5回目の失敗の時、海南島から端渓(現肇慶市)に流され、その際に同行していた日本人僧侶栄督が葬られていることでも有名です。鼎湖山は国家重点風景区に指定され、環境管理も行き届き、移動には観光用の電気自動車を使っています。亜熱帯林に飛び交う湖蝶をみることができ、清流が流れる滝がすがすがしく、広東省の大都市の住民らが一時、ゆったりと羽をやすめる憩いの場所となっています。 また、肇慶は「端渓(たんけい)硯」の産地として、多くの書家が硯を求めて訪れている場所でもあります。 |
会報Vol.22(2008年8月) |