遼寧省 瀋陽市(りょうねいしょう しんようし) |
瀬井 康代さん(言語教育研究科/平成17年修了) |
瀋陽市は中国東北三省の一つ、遼寧省の省都であり満州帝国時代には奉天と呼ばれた街です。歴史的な背景もあって、日本語教育が盛んな地域であり高齢者の中には日本語が話せる人も多くいます。瀋陽市市役所や瀋陽駅は旧日本軍の建築物であり、旧大和ホテルも名前を変え営業しているなど満州帝国時代の名残りを街のあちこちで目にします。中国の他の大都市同様に人口も増加し続け、都市開発が急速に進んでいます。 有名な観光地として瀋陽市には清朝初期の皇宮である瀋陽故宮博物院、清朝の太祖ヌルハチが眠る東陵公園、太祖ホンタイジが眠る北陵公園の3つの世界遺産が挙げられます。また、私の勤務する瀋陽大学は日中戦争勃発の地である柳条湖に近いのですが、抗日戦争期の様子が生々しく再現されている九.一八事変博物館もあります。私自身が一番好きな場所は、東陵公園です。中心街からバスで30分あまりの所にあるのですが、静かで緑豊かなので心が和むのです。瀋陽も空気汚染が進んでいるのでマスクを時々つけたりするのですが、ここへ来ると深呼吸したくなります。 瀋陽の人々は気さくで、知らない人にもよく話しかけられます。最初は戸惑っていたのですが、それにも慣れてきました。反日感情を心配していたのですが私が直接嫌な思いをしたということはありません。ただ、ある中国人の友人は初めて私に会った時に日本人だという理由で目を合わせるのが怖かったと後で言ってくれました。学生の家を訪ねた時に彼女の祖父母にも会ったのですが、近所に住んでいた日本人の子どもとよく遊んだということや日本語を教えてくれた先生がとても美人だったことなど笑顔で話してくれたのが印象に残っています。 ここでの生活で一番大変なのは何といっても冬の寒さです。1月にはマイナス30度まで下がる日もあり、宿舎から教室へ行くのに勇気が要りました。部屋の中は暖かく半袖でもいいくらいなのですが外は・・・。顔が痛くなったり、家へ帰った時など血流が急に良くなるせいか、体中に痛みを感じました。冬が終わるといきなり夏です。夏は涼しいのかと期待していたのですが、姫路の夏同様に暑いです。食欲が落ちるかとこれまた期待していたのですが、何を食べても美味しいので食べ過ぎてしまいます。北方料理の代表である餃子は皮も美味しく種類も豊富です。創業170年の歴史を持つ「老辺餃子館」という餃子のレストランがあるのですが、いつも観光客で賑わっています。皆さんも瀋陽を訪れた際には是非足を運んでみて下さい。 北京オリンピックでは、瀋陽はサッカー予選会場となっています。このスタジアムを設計した建築家は日本人だそうです。こうした新しい建築物を日本人が設計したと知って嬉しくなりました。 北京オリンピックに向けて、人々の期待が高まっているのを肌で感じています。しかし、オリンピックが世界平和という目的の下に行われるものだということが忘れられているような気もします。もうすぐ聖火が瀋陽へ到着するそうです。平和の尊さを感じながら見たいと思っています。最後になりましたが、皆さん是非瀋陽へ遊びに来て下さい。お待ちしています。 |
会報Vol.22(2008年8月) |