レインボー・カントリー:南アフリカ共和国 |
今田 啓之さん(日本語学科/平成4年卒)
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皆さんがこれを読まれる頃にはワールドカップも終わり、南アフリカに関する情報は、ほぼ出尽くされているかと思います。 試合結果はもちろん、試合会場周辺の観光名所や喜望峰、アフリカ最南端のアグラス岬、ちょうど雪が積もっているでしょうドラケンズバーグの山々などなど。もう少しこの国に対して理解を深めようとしていれば、どのようにこの国が成り立ち、アパルトヘイト以降、どのように民族融和がはかられているのか。そして、その過程においてどのような問題が起こっているのかなども、それぞれの視点から放送、報道されていると思います。しかし、アフリカといえば、やはり動物でしょう。ここでは簡単ですが、動物事情をご紹介します。 南アのnational parkは他国に比べると、整備され過ぎて面白みに欠けると言われますが、四国とほぼ同じ面積のKruger national parkをはじめ、全国各地に合計21のnational parkがあります。その他にもnature reserve、gamereserve、private game reserveを合わせると、ゆうに100を超えるreserveがあります。またアフリカの動物と言えば、ライオンや象に代表される陸棲哺乳類が想像されるでしょうが、ここ南アフリカには、南半球を代表する飛べない鳥”ペンギン”も生息しています。それも雪や氷とはほぼ無縁で、夏場は30度を超えることもある場所です。 national parkは、その土地にいる動植物の保護とともに、当然ながら観光資源としての側面も強くあります。nature reserve、game reserveは水源をはじめとした環境保護や絶滅危惧種の保護、そして自然保護教育の場としても使われています。我が家(プレトリア)から十分程で行ける距離にも、二つのnature reserveがあり、一方のreserveではマウンテンバイクに乗ったり、トレイルランニング、トレッキングをしながら、キリン、シマウマ、ヌーなど比較的安全な動物を見ることが出来ます。もう一方にはサイ、バッファロー、チーター、カバなどがおり、つい最近は、W杯の観光客を引きつけるためでしょうか、ライオンも移入されました。こちらは自家用車での移動が基本になります。ただ、この都市部にあるreserveにさえ密猟者がヘリコプターに乗って現れ、今年の3月には3頭のサイが角を目的に殺されるという事件もありました。 しかしながら、localの子供から大人にまで人気があるのは動物園だそうです。アフリカに動物園!?と思われるでしょうが、特に都市部で生まれ育った localの多くの人が、野性の大型獣を見たことがないと言います。national parkは車でなければ入れないのが一番の理由になっています。その点、動物園は入園料が少々高いものの、お目当ての動物は必ず見られるし、動物園までの交通の便もまあ便利なため、人気があるのでしょう。 |
会報Vol.26(2010年8月) |