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姫路日仏教会 会長
白井さん
 白井 智子さん(言語教育研究科/平成5年修了)

 明治初期の生野銀山の近代化とお雇いフランス人技師らについて研究をしている私は、昨年、神戸大学からの派遣でパリ大学に在籍して調査・研究を進めていた際に、「銀の馬車道」ゆかりの素敵なバラに出会った。

 「銀の馬車道」とは、生野銀山と姫路港間の物資運搬を円滑にするために、1873(明治6)年から3年を掛けて、当時の西洋の最新土木技術を駆使して築道した全長約49㎞の馬車道のことで、日本最初の高速産業道路と言われている。この馬車道を設計したのは、フランス・リヨン出身の技師レオン・シスレーで、シスレーはリヨンで園芸業を営む父親に、馬車道沿線上で採取した様々な日本の植物の種子を送った。

 この日本の植物の中で現在もフランスで広く子孫が育成され続けているのが日本原生の「ノイバラ」である。リヨンで名門のバラ育種家ギヨは、シスレーから譲り受けたノイバラの種子から新種のバラを作出し、その後、改良が重ねられてフランス中に広がり、今もフランスの人達に愛され親しまれている。

 それから約140年後の2012年、リヨンに本部を置くフランス オールド・ローズ協会のメンバーの発案により、東日本大震災被災地支援のためにノイバラの血筋を引く新種のバラ「絆“KIZUNA”」が誕生し、チャリティーローズとして日本に送られたが、このバラを育種・作出させたのは、ギヨの玄孫でバラ育種家のドミニク・マサド氏であった。

 この19世紀から21世紀まで3世紀に跨る「馬車道」と「バラ」を通して続いた兵庫とフランスとの親密な友情とロマン溢れる物語に大いに心を打たれた私は、ぜひこのノイバラの子孫のバラを「銀の馬車道」に里帰りさせたいと考えた。帰国後、兵庫県知事や姫路市長のご理解とご支援を得て、今年、東日本大震災3年目の3月11日を皮切りに「銀の馬車道」関連地に植栽を行っている。

 今後、このバラ「絆“KIZUNA”」が、明治時代から続く兵庫・姫路とフランスとの日仏友好のシンボルとして美しく咲き続き、兵庫県とフランスとの交流が益々盛んになることを願うとともに、東北復興支援の一助となることを切に望む。

なお、「絆“KIZUNA 」は、兵庫県公館、姫路駅前キャッスルガーデンなどで観ることができる。ご興味のある方はぜひ現地でご覧になって頂きたい。
 会報Vol.31(2014年8月)