大衆薬(OTC)とサプリメントの 飲み合わせ注意報! |
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薬学部医療薬学科 准教授 大西憲明先生 |
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Q: | サプリメントが流行していますが、服用する際に気をつけることを教えてください。 |
A: | OTC(Over-the-Counter Drug: 大衆薬)との飲み合わせに注意しましょう。近年、国民の健康意識の高まり、国の保健政策の変革等により、セルフメディケーション・プリベンションは急速に国民の間に浸透しつつあります。そのため、OTCの重要性は益々増大傾向にあります。実際に、従来処方せん薬であったものがOTCとして転用された薬(スイッチOTC)または最初から直接OTCとして認可された新薬(ダイレクトOTC:
1999年発売の発毛促進剤リアップ等)の品目数は着実に増加しています。しかしながら、これらOTCは、消費者にとって手軽にかつ迅速に入手できるものの、スイッチOTC・ダイレクトOTCのように効果が強いものも多く、消費者が自己判断のみで購入使用した場合、何らかの副作用、他薬または飲食物との併用により有害な飲み合わせを惹起する可能性も十分考えられます。 事実、最近では、処方せん薬とグレープフルーツジュース、セントジョーンズワートといったサプリメントとの飲み合わせが問題となっているのです。 |
Q: | 飲み合わせの具体例は? |
A: | 風邪の諸症状緩和に多用される総合感冒薬、解熱鎮痛消炎剤等のOTCと、今や国民の約半数以上が愛用しているサプリメントの飲み合わせの代表例、そのしくみ、マネジメントについては下の表を参考にしてください。 多くのOTC、中でも、いわゆる風邪薬や胃腸薬は、1錠または1包中に複数の有効成分が含まれる配合剤が圧倒的に多いので、各市販製品に含有されている有効成分およびそれらの含有量(処方せん薬の約1/3~1/2)を熟知しておく必要があります。さらに、各種ビタミンが配合されている場合もありますので、ビタミン類を常用している者が過剰に摂取しないことも大事であります。 OTC-サプリメント間の代表的飲み合わせについて述べましたが、セルフプリベンションの浸透とともに、「OTCの適正使用」は今後益々その重要性を増してくることは自明の理です。したがって、ただ単に消費者の利便性のみばかりを考えるのではなく、国民の健康、ひいては最も尊重されるべき生命を守る観点から、国民へのOTC供給での薬局・ドラッグストア薬剤師(将来、登録販売者も含む)の役割は極めて絶大となります。今後、OTCやサプリメントを販売する薬剤師等は、OTCに関する情報のみならず、サプリメント自体、ならびにOTC-サプリメント間、OTC-処方せん薬間およびサプリメント-サプリメント間の飲み合わせに関する最新情報を常に収集、整理、加工および蓄積し、これらのデータベースを有効に活用・提供することによって、消費者への指導・相談の質を向上させることが一層肝心となります。 |
(参考文献)大西憲明編著: 一目でわかる薬と飲食物・サプリメントの相互作用とマネジメント<改訂版>、フジメディカル出版、大阪、2007 | |
OTC-サプリメント間の代表的飲み合わせとマネジメント |
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会報Vol.20(2007年8月) |