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 睡眠の重要性について

医療保健学部作業療法学科 教授/健康管理室長 大西道夫先生

Q: 子どもの「夜更かし」は何故問題なのですか?
A:  最近1~2歳の子どもで夜10時以降起きている子どもが半分以上となっています。この「夜型の生活」により人間は身体本来のリズムとずれを生じ、体は変調を起こします。これを睡眠医学では「内的脱同調」とか「慢性的時差ボケ」といいます。このため朝寝坊をして睡眠時間は長くても体調がすぐれず、「体がだるい」「頭がぼーっとする」「脚がふらつく」などの症状を子どもたちが訴えますし、「肥満」「高血圧」「糖尿病」などの生活習慣病が子どもたちで増えており、朝起きても気分が悪く学校に遅れたり休んだりして「不登校」に発展したり、「引きこもり」になる可能性も指摘されています。子どもは早く寝かせる必要があります。 

Q: そうは言っても子どもはなかなか寝たがりません。親がテレビなど見ていると一緒にいたがり、「寝なさい」と言っても言うことをききません。どうしたらいいでしょう? 
A: QA-21-02 子供はほっておいても寝るというものではありません。睡眠医学では「しつけ不足睡眠障害」と名付けています。小さいときから「添い寝」をし、物語を読んでやるとかして、早起き・早寝の癖をつけねばなりません。また親自身が早寝をして模範を示す必要もあるでしょう。親が遅くまで起きていて子どもだけ早く眠りなさいと言っても難しいと思います。昔の子どもは昼間に十分に運動をしていたので、よく眠っていた面もあると思います。どうやって運動させるかは家族ごとに考えてやってください。朝には子ども部屋のカーテンを開けて、子どもが十分日光を浴びることができるようにしましょう。日光は朝体内時計をリセットし、夜メラトニンを分泌し眠り易くします。

 また不眠の大きな原因に「カフェイン」があります。コーヒー、紅茶、ウーロン茶、日本茶、チョコレートは午後に摂取するのは避けましょう。それでは「何を飲んだらよいのか」というと、水、麦茶、昆布茶、スポーツドリンクなどが考えられます。「麦茶」を活用しましょう。

Q:  人間は何時間眠ると一番健康で長生きできるのですか?
A:  統計的には7~8時間眠る人がもっとも死亡率が低いのです。でも個人差もあり5~10%くらいの割合で、短眠型体質(5~6時間睡眠)と長眠型体質(9~10時間睡眠)があります。短眠型は「行動的で悩まないタイプ」に多く、長眠型は「苦労性で、ストレスの過剰な人」に多いことが知られています。9時間眠らなければ調子の悪い長眠型の人が7時間睡眠で生活していると必ず病気になるといわれています。いずれにしろ「睡眠不足」の人は生活習慣病を促進し、癌をはじめ脳血管障害、心筋梗塞、うつ病、頭痛、アルコール症、薬物依存症を増加させることが分かってきています。 


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  会報Vol.21(2008年1月)