インフルエンザの予防と治療 | |
薬学部医療薬学科 教授/健康管理室長 西郷 勝先生 |
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Q: | インフルエンザの予防法は? |
A: | 今回の新型インフルエンザは、当初心配されたほどの強い毒性を有するものではありませんでした。しかし、過去の経験から、第2波、すなわち今冬にはさらに毒性を強めて致死率の上昇につながる可能性についても配慮しておきたいと思います。 予防の基本は、 ![]() ②咳エチケットの徹底(後述) ③十分な栄養と睡眠の確保、さらに人混みをさけ、ヤムを得ない場合にはマスクを 着用すること などが基本。 「咳エチケット」は感染拡大防止のため重要です。咳やくしゃみをする時は周囲のヒトからなるべく離れる事(飛沫は2メートル飛ぶ)、マスクをすること、マスクがない場合、咳やくしゃみをする時にはティッシュなどで口と鼻を覆う事(使ったティッシュはすぐにゴミ箱へ)、を心がけましょう。 ![]() 可能性のある特異的な予防はワクチン療法。現状ではワクチン不足状況ではあるが、可能な場合には早い目に受けておきましょう。 |
Q: | インフルエンザに罹ってしまったらどうすればよいでしょうか? |
A: | 治療の基本は対症療法。発熱には解熱剤が使用されますが、代表的な消炎剤であるアスピリンでは、小児で脳症や肝機能障害(ライ症候群)を起こす可能性があり、アセトアミノフェン(カロナール、アンヒバなど)が用いられています。 特異的な治療として、インフルエンザウイルスの増殖を阻害するタミフルとリレンザが使用されてます。いずれもウイルスの酵素ノイラミニダーゼを選択的に阻害し増殖を抑制するが、すでに増殖したウイルスへの効果は乏しいのが弱点です。また、発症後48時間以内に使用を開始することが必要です。 ![]() リレンザは吸入薬で副作用は少ないが、気管支喘息やCOPD(肺気腫、慢性気管支炎)など気道の過敏性を認める場合には吸入しがたいこともあります。これまでの使用実績はタミフルに比較し少ないため、今後新たに副作用の問題が発生する可能性も否定できません。 現在開発治験中の薬剤もあります。第一三共製薬、塩野義製薬では、これまでの薬剤と基本的には同様な作用機序の新薬を開発中であり、タミフル耐性例への有効性も確認されています。さらに富山化学工業の新薬は、これまでの薬剤とは機序が異なり、ウイルス内のRNAポリメラーゼに作用するため、ノイラミニダーゼの突然変異に左右されない利点が期待されます。 |
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会報Vol.25(2010年1月) |